
「また電気代が上がってる…」そんな声があちこちで聞かれるようになりました。
2025年3月には政府の補助金が終了し、2025年4月からは再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)もアップ。家計への負担は確実に増えています。
このまま何もしないと、電気代はもっと上がるかもしれません。
この記事では、電気代が上がる理由や補助金の変化と今後の見通し、今できる家計防衛策を分かりやすく解説します。
「毎月の電気代がつらい…」「今後どうなるのか不安」という方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
なぜ電気代が上がり続けるの? 〜背景と最近の値上げ状況〜
「電気代、また上がってる…」そう感じる理由は、燃料費や為替の影響、再生可能エネルギー発電促進賦課金の上昇など、いくつもの要因が関係しています。
さらに2024年以降は、多くの電力会社が値上げを実施。2025年4月からは再生可能エネルギー発電促進賦課金も大幅にアップしています。
この章では、電気代の仕組みや最近の動きをわかりやすく整理していきます。
電気料金の仕組みと影響要因
家庭の電気代は、大きく分けて「基本料金」と「電力量料金」の2つで構成されています。
基本料金:電気を使わなくても毎月かかる固定費で、契約しているアンペア数によって決まります。
電力量料金:実際に使った電気の量に応じて計算される変動費です。
この中で、特に電気代に影響しているのが「燃料費調整制度」という仕組み。
これは、発電に必要な石油やLNGなどの燃料価格が変動すると、その分が電気代にも反映される制度です。
たとえば燃料が高騰すれば、使った分の電気料金も上がり、燃料が安くなれば下がる――そんな連動型の仕組みになっています。

図1:電気料金の内訳構成図
近年は世界的なエネルギー価格の高騰や円安の影響で、燃料費が大幅に上昇。
その結果、電力量料金がぐんと跳ね上がり、家庭の電気代にも影響が出ています。

図2:東京電力エナジーパートナーの燃料費調整額の推移
出典:東京電力エナジーパートナー|燃料費調整単価等一覧 を参考に作成
※東京電力・従量電灯Bの場合
2022年8月~2023年12月使用分:一定の高額で停滞
2023年1~5月使用分:大きく減少のうえ、一定の額で停滞
→「電気・ガス価格激変緩和対策事業」
2023年6~8月使用分:大きく減少
2024年8~10月使用分:上昇傾向から減少し、一定の額で停滞
→「酷暑乗り切り緊急支援」
2025年1月~3月使用分:上昇傾向から減少し、一定の額で停滞
→「電気・ガス料金負担軽減支援事業」
2025年4月以降:補助金終了に伴い、上昇中
ただし、基本料金は変わっていません。これは、電力会社が設備の維持などに使う「固定の費用」であり、燃料価格とは直接関係がないためです。
一方で、託送料金(電気を届けるための送配電網の使用料)は、ここ数年で全国的に値上げが行われています。
この託送料金は、送電線や変電所などのインフラ維持や再生可能エネルギーの普及などを支える費用として、電気料金に含まれています。
特に2023年〜2024年にかけては、老朽化した設備の更新や防災対策、カーボンニュートラル対応などを理由に、大手電力10社のうち9社が託送料金の引き上げを申請・実施しました。
また、生活に必要な最低限の電力量(第1段階)については、値上げ幅を抑えるような措置も取られています。
急激な負担増を避け、生活に必要な電気はなるべく安く使えるよう配慮されているのです。
電力会社ごとの値上げ状況(2024年〜2025年)
2024年から2025年にかけて、大手電力会社10社すべてが電気料金を値上げする見通しです。
それぞれの地域や電力会社によって、値上げの幅に差があり、どの地域でどのくらい上がるのかを把握しておくことが、家計の見直しにもつながります。
以下の表では、各電力会社の値上げ幅を地域ごとにまとめています。
ご自身の契約先をチェックし、影響の大きさを確認してみてください。
電力会社 | 一般家庭の電気料金(月) | 2月との差 |
---|---|---|
北海道電力 | 9,155円 | 301円↑ |
東北電力 | 8,485円 | 366円↑ |
東京電力 | 8,595円 | 377円↑ |
中部電力 | 8,379円 | 411円↑ |
北陸電力 | 7,406円 | 294円↑ |
関西電力 | 7,326円 | 312円↑ |
中国電力 | 8,103円 | 346円↑ |
四国電力 | 8,197円 | 333円↑ |
九州電力 | 7,223円 | 302円↑ |
沖縄電力 | 9,232円 | 375円↑ |
表1:電力会社大手10社 2025年3月検針分(4月請求)の電気料金予測
出典:NHK「4月請求の電気料金 電力大手10社すべてで値上がり 補助縮小で」 を参考に作成
2025年3月値上がりの原因
・政府による補助「電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金」 の終了
・再エネ賦課金の値上げ
・原油やLNGなどの燃料価格の高騰
特に北海道や沖縄といった地域では、もともとの電気料金が全国平均よりも高めに設定されているため、今回の値上げでさらに負担が大きくなる可能性があります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは?過去の推移と2025年の単価
「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」とは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを普及させるために、毎月の電気料金に上乗せされている料金のこと。
私たちが電気を使うたびに少しずつ支払っているこのお金が、再エネ発電を支える大切な財源になっています。

これが実は・・・年々じわじわ上昇中!
再エネ賦課金単価は、ここ数年でじわじわと増加してきました。
2021年度は1kWhあたり3.36円だったのが
2023年度は1kWhあたり1.4円に減少したが
2024年度には3.49円に!
さらに・・・
2025年度は約3.98円になります。

図3:再エネ賦課金の年度別推移(円/kWh)
出典:新電力ネット|統計情報>再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移 を参考に作成
この上昇によって、1世帯あたりの月々の電気代が約385〜465円程度アップするとも言われています。
家庭の電気代にとっては、じわじわ効いてくる「見えにくい固定費」なのです。

月あたりの負担額シミュレーション(世帯平均使用量 × 単価)をしてみましょう!
例えば、平均的な家庭(年間使用量 約3,600kWh=月300kWh程度)が電気を使う場合、再エネ賦課金は毎月の電気代にどれくらい影響しているのでしょうか?
以下の図では、月々の電気使用量に再エネ賦課金の単価をかけたシミュレーションをもとに、年度別ひと月あたりの負担額をわかりやすくまとめています。

図4:年度別月あたりの負担額シミュレーション(世帯平均使用量 × 単価)
出典:新電力ネット|統計情報>再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移 を参考に作成

月々の電気代の中に入っているの知ってた?
年々上がっているね・・・
ちなみに電気使用量に応じて負担額は変わるよ
- 再エネ発電を広げるためのコストがかかっている
- 政府の補助金(電気代の一部を肩代わり)が徐々に縮小中
- 電力会社が発電コストを価格に転嫁する流れにある
→こうした背景から、再エネ賦課金の負担が家庭にじわじわのしかかっている状況です。

消費者の声はどうでしょうか?
「電気代の内訳がよくわからないけど高くなっている気がする…」
「再エネに賛成だけど、生活が厳しくなるのは困る」
「節電だけじゃ追いつかない…」
こうした声も増えつつあり、家庭では省エネ家電の導入や電力プランの見直しを進めるなど、自衛的な対策をとる動きも活発化しています。
政府の補助金はどう変わった? 〜支援の縮小・終了とその影響〜

「電気・ガス料金負担軽減支援事業」は2025年1月から3月の冬の電気・ガス代について、国の支援が実施されています。
これは、物価高の影響を受けやすい家庭や企業をサポートする目的で、使用量に応じて毎月の料金から自動で値引きされる仕組みです。
申請は不要で、対象の電力・ガス会社を利用していれば誰でも恩恵を受けられるのが特徴。
冬場の高い光熱費に悩むご家庭にとって、少しでも助けになる制度です。

図5:電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金の補助額の推移
出典:経済産業省資源エネルギー庁|電気・ガス料金支援<電気・都市ガスをご利用するみなさまへ を参考に作成
(https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/)
2023年からの政府の補助の推移
以下に、年度ごとの補助金の推移について詳しく見ていきます。

図6:政府の補助の推移
出典:経済産業省資源エネルギー庁|電気・ガス料金支援<電気・都市ガスをご利用するみなさまへ を参考に作成
2023年1月頃から、天然ガス価格の高騰などの影響で電気代は右肩上がりに。
その負担をやわらげるために、政府の補助開始「激変緩和措置」
段階的に縮小し、2024年6月は補助なし。
2024年8月に「酷暑乗り切り支援」を開始し、10月に補助終了。
2025年1月には「電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金」を開始、物価高のなか家計を支える大きなサポートでしたが、2025年3月をもって一度終了しました。
たとえば電気代は、1kWhあたり1.3円、ガス代は1立方メートルあたり5円が値引きされていたため、多くの家庭で月々数百円〜数千円の負担軽減につながっていました。
しかし、補助金が終了した2025年4月以降は、この値引きがなくなり、4月使用分(5月請求)電気・ガス料金の請求額が一気に上昇。電気代だけでも月385〜465円の負担増となる家庭が多いと見られています。
補助金はこれまでに総額4.3兆円が投入されてきましたが、今後は再エネ推進や燃料価格の動向によって、支援の形が変わる可能性も。
家計への影響が続く中、節電・省エネ家電の活用など、家庭でもできる対策をしっかり考えていきたいですね。
2025年以降の縮小と終了理由
これまで、家庭の電気代やガス代の負担をやわらげるために、政府は補助金を出してきました。ですが、2025年4月以降、この支援は段階的に縮小・終了する流れとなっています。
なぜ補助金が終了したのか?
主な理由 | 説明 |
---|---|
財政負担の増大 | 補助金支給による国の支出がかさんだ |
環境政策のシフト | 再エネ投資を重視し、補助の使い道を変更 |
国の借金の増加 | 財政の健全化のため、支出の見直しが必要に |
まず一つは、政府の財政負担が重くなってきたこと。長期にわたる補助金の支給により、国の予算にも限界が見えてきました。
もう一つは、エネルギー政策の転換です。これからの時代、政府は再生可能エネルギーへの投資を重視する方向に舵を切っています。太陽光や風力など、環境にやさしい電力の普及を進めるための資金が、優先的に使われるようになりました。
さらに、国の借金(財政赤字)の増加も影響しています。限られた財源の中で、どこにお金を使うかを見直さなければならない状況にあるのです。
こうした流れの中で、家庭に対する補助は終了し、今後は電気代の値上げが続く可能性もあります。
そのため、私たち消費者には、早めの対策が大切です。たとえば、
- 省エネ家電への買い替え
- 電力会社の料金プラン見直し
- 無駄な電気の使用を減らす工夫
など、日々の暮らしの中で「できること」から始めることが、家計への影響をやわらげるカギになります。
家計に与えるインパクト
電気代やガス代の値上がりは、家庭にとって見過ごせない負担です。
項目 | 補助あり (2025年3月) | 補助なし (2025年5月) | 増加額の目安 |
---|---|---|---|
電気代 | 約9,000円 | 約9,400~9,500円 | +385~465円 |
ガス代 | 約4,000円 | 約4,100~4,150円 | +106~141円 |
合計 | 約13,000円 | 約13,600円 | +500~600円 |
表2:電気・ガス料金の月額負担の変化(補助あり → 補助なし)
出典:経済産業省資源エネルギー庁|電気・ガス料金支援<電気・都市ガスをご利用するみなさまへ を参考に作成
※平均的な家庭(月の使用量300kWh程度)を参考に算出
たとえば、2025年5月請求分の電気代は、前月より約385〜465円ほどアップすると見込まれています。ガス代も106〜141円ほどの値上げが予想されており、家計にじわじわと影響が出てきています。
さらに、これまであった「電気・ガス料金負担軽減支援事業」の補助金が終了・縮小したことで、実質的な支出はさらに増えることに。
加えて、再エネ賦課金(再生可能エネルギーの普及のための料金)も増額されており、1kWhあたり約3.98円の負担増となっています。これらすべてが重なると、毎月の光熱費がこれまで以上に高くなるのです。
このような状況では、家庭ごとに節約の工夫がますます重要になります。
「電気をこまめに消す」「エアコンの設定温度を見直す」「使っていない家電のコンセントを抜く」など、小さなことの積み重ねが、毎月の支出を抑える第一歩です。
節約対策 | 難易度 | 効果の目安 |
---|---|---|
エアコンの温度調整(夏28℃、冬20℃) | ★☆☆ | 中 |
LED照明への切り替え | ★☆☆ | 中 |
使用していない家電の主電源オフ | ★☆☆ | 小 |
節電モード付き家電の導入 | ★★☆ | 中~大 |
太陽光パネルの導入 | ★★★ | 大 |
表3:光熱費を抑えるための具体策
また、長い目で見て、省エネ家電への買い替えや太陽光発電の導入なども検討に値します。初期費用はかかりますが、将来的には光熱費を大きく抑えることができる可能性があります。
家計を守るために、「今すぐできる節約」と「将来を見据えた対策」をうまく組み合わせていくことが大切です。家族みんなで協力しながら、無理なく続けられる工夫を見つけていきましょう。
2025年以降どうなる?電気代の未来予測
私たちの毎月の電気代は、実は日本だけで決まっているわけではありません。
石油や天然ガスなどの燃料を海外から買っている日本では、国際的なエネルギー価格の変動や円安・円高といった「為替レート」の影響が大きく関係しています。
では、これから先、電気代はどうなっていくのでしょうか?
国際エネルギー価格と為替の影響
私たちの電気代は、日々の生活だけでなく、世界の経済状況や為替レートにも左右されています。特に、エネルギー価格の上昇や円安が進むと、日本の電力会社のコストが増え、その影響が私たちの電気代にも反映されます。

図7:燃料費調整単価と電気料金の推移
出典:東京電力EP|従量電灯B・C、燃料費調整単価等一覧 を参考に作成
※電気料金は東京電力EP(従量電灯B・30A・260kWh利用)を参考に算出
※燃料費調整額は政府補助反映済み
たとえば、燃料費が高くなると、発電にかかるコストが上がり、電気料金も上がる傾向にあります。実際、最近では燃料費の上昇により、規制料金・自由料金ともにの値上げが実施されました。
また、日本はエネルギーの多くを輸入に頼っているため、円安になると輸入コストが増え、これも電気代アップの原因になります。円の価値が下がると、ドルで買っている燃料の価格が高くなってしまうんです。
このような影響が重なると、標準的な家庭で月385~465円の値上がりになることも。為替が不安定なままだと、これからも電気代が大きく変動する可能性があります。
将来的に、エネルギー価格が高止まりしたり円安が続いたりすると、電気料金も高くなる見込みです。そのため、家庭でできる省エネ対策や電力会社のプラン見直しがますます大切になります。
再エネ政策や制度変更の見通し
政府は、再生可能エネルギーの普及をさらに進めるために、さまざまな新しい政策や制度の変更を行っています。これらには、再エネ賦課金の見直しや補助金の変更が含まれており、持続可能なエネルギーの供給を目指しています。また、2030年に向けた再エネの普及目標に基づいて、新たな支援制度や規制が導入される予定です。
これらの政策変更は、私たちの電気料金や日々のエネルギー使用にも大きな影響を与える可能性があります。たとえば、再エネ賦課金の増減は直接電気代に反映され、家庭のエネルギーコストに影響します。これに対応するためには、エネルギー効率を高めるための省エネ対策がますます重要となります。
次のセクションでは、これらの政策変更が具体的に家庭の生活にどう影響するか、そしてどのように対応するべきかについて詳しく解説していきます。
今後も電気代は上がり続けるのか?
電気代が今後も上がり続けるかどうかは、燃料費の動向や再エネ賦課金の増減、政府の政策、さらには市場の変動といったさまざまな要素に影響されます。
このセクションでは、これらの要因を踏まえて、電気代が今後どう推移するのかを予測し、その影響についてわかりやすく解説します。最新の市場データや専門家の意見を基に、中立的な視点で分析していきます。
なぜこんなに不安定?電気料金が上下する本当の理由
「先月より電気代が高い…」「今月は少し安くなった?」そんな電気料金の変動には、実はさまざまな仕組みや背景があります。
燃料費の調整制度や為替の動き、原料価格、気候、自然災害、さらには政府の方針まで…。
この章では、電気代が上下する本当の理由をわかりやすく解説していきます。
燃料費調整制度の仕組み
「毎月の電気代、なんでこんなに変わるの?」と思ったことはありませんか?
そのカギを握るのが「燃料費調整制度」というしくみです。

図8:燃料費調整制度の流れ図
これは、電力会社が使う燃料(石炭やLNGなど)の価格が変動すると、それに合わせて電気料金も上下する制度です。たとえば、燃料費が高くなれば電気料金もアップ、安くなれば料金もダウン。私たちが使う電気の「単価」が月ごとに変わる、というわけです。
この制度のおかげで、燃料費が急に高騰しても、私たちの電気代がドカンと跳ね上がるのを防いでくれています。ただし、影響がゼロではないため、月々の請求額にちょっとした差が出るのです。
このように変動があるからこそ、電力会社の料金プランを定期的に見直すことや、無理なく節電できる生活スタイルを考えることが、家計の安定には大切なんです。
為替、原料価格、気候、災害などの要因
電気料金が上がったり下がったりするのは、実は「為替」や「燃料価格」、さらには「気候」や「災害」など、いろんな要因が関係しています。これらは電力会社のコストに影響し、結果的に私たちの家庭の電気代にそのまま反映されてしまうんです。
要因 | 内容の例 | 電気料金への影響 |
為替変動 | 円安 → 輸入燃料コストが増加 | 発電コスト上昇 → 値上げ |
燃料価格 | 原油やLNG価格の高騰 | 燃料費増加 → 値上げ |
気候変動 | 猛暑・寒波で電力需要が急増 | 需給逼迫 → コスト増 |
自然災害 | 地震・台風で発電所や設備に被害 | 修復費用 → 値上げ要因に |
表4:電気料金に影響する主な要因

これらは複合的に重なるとさらに影響が大きくなります
たとえば、円安になると輸入燃料のコストが上がって、発電コストが増えます。これが電気料金の値上げにつながります。燃料価格が高騰した場合も同様で、すぐに電気代に影響が出ます。
また、気候の変化や自然災害も見逃せません。猛暑や寒波で電力需要が急増すると、発電コストが上がりますし、台風や地震で発電所や送電網がダメージを受けると、修復費用も料金に反映されます。
このように、電気代は日常のさまざまな出来事に左右されるもの。先が読みにくいからこそ、家庭でも「備える意識」が大切ですね。
政府の政策・制度が与える影響
私たちの暮らしに欠かせない電気。その料金は、政府のエネルギー政策によっても大きく左右されます。近年は、再生可能エネルギーの普及や省エネ技術の導入が積極的に進められており、それに伴って制度や補助金も次々に変化しています。
たとえば、太陽光や風力などの再エネ導入には初期費用がかかりますが、長期的には燃料費を抑える効果が期待されています。

図9:再エネ政策と電気料金への影響フロー
また、電力市場の自由化により、電力会社の選択肢が増えた一方で、価格の仕組みが複雑になったと感じる方も多いのではないでしょうか。
また、政府のエネルギー政策に関わるもう一つの重要なコストが「託送料金」です。
この託送料金とは、発電された電気を家庭まで届けるために使われる送配電ネットワーク(電線など)の維持管理にかかる費用で、全国どの電力会社を選んでも共通してかかる“インフラ使用料”のようなものです。
~ポイント~
託送料金は燃料費や再エネ賦課金とは異なり、地域送電網などの共通インフラを支えるための固定的なコストです。今後も再エネ対応や災害対策に向けて、増加が見込まれています。
近年は老朽化したインフラの更新や、再生可能エネルギーの導入拡大による系統強化のため、託送料金の単価が引き上げられる動きが続いており、これも電気料金の上昇要因のひとつとなっています。
さらに、補助金や税制優遇といった支援制度が登場し、うまく活用すれば家計の負担を軽減できるケースもあります。これからは、ただ「節電」するだけでなく、制度の動きを知り、かしこく選択していくことが大切になってきています。
電気代を守るために今できること
電気代の上昇が続く中、今こそ「できること」から始めてみませんか?
この章では、電力会社の料金プランの見直しや、家庭で手軽にできる節電・節約のポイントをご紹介します。
また、無理なく続けるために役立つ「見える化」や意識づけのコツも解説。
家計を守る第一歩を一緒に踏み出しましょう。
電力会社の料金プラン見直し
電気代を節約するには、まず今の料金プランが自分の家庭に合っているかを見直すことが大切です。
電力会社のプランは種類が豊富で、選び方ひとつで毎月の電気代に大きな差が出ることも。
ここでは、主なプランの特徴や選び方のコツをご紹介します。
プラン名 | 特徴 | 向いている家庭 |
---|---|---|
定額制プラン | 毎月の料金が一定。 使用量に関係なく安定した支払いができる。 | 電気使用量が一定の家庭や予算を立てやすくしたい家庭 |
従量制プラン | 使用量に応じて料金が変動。 使った分だけ支払う仕組み。 | 電気使用量が多い家庭や、こまめに節電したい家庭 |
時間帯別プラン | 昼と夜、平日と休日などで 料金単価が異なる。 | 夜間・休日に多く電気を使う家庭や共働き世帯 |
表5:主な電気料金プランの特徴
プラン選びのポイント
- 家庭の電気使用が多い時間帯をチェック
- 家族構成や生活スタイルに合うプランを選ぶ
- 省エネ家電を使っているかも考慮すると◎
例:日中ほとんど家にいないご家庭 → 夜間料金が安い「時間帯別プラン」がおすすめ!
家庭タイプ | おすすめプラン | 理由 |
---|---|---|
夜間に多く電気を使う | 時間帯別プラン | 夜間料金が安く、全体のコストを抑えられる |
使用量が少ないまたは一定 | 定額制プラン | 毎月の料金が決まっており予算管理がしやすい |
電気をたくさん使う | 従量制プラン | 使用量に応じた料金なので、無駄を意識しやすい |
表6:家庭タイプ別おすすめプラン表
ご家庭の電気の使い方に合ったプランを選べば、無理なく電気代を節約できます。まずは1か月の電気使用パターンを見直して、自分にぴったりのプランを探してみましょう!
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家庭でできる節電・節約のポイント
家庭でできる節電・節約のポイントを紹介しますね!日常生活の中で少し工夫をするだけで、電気代を賢く節約できます。以下のようなポイントを実践してみましょう。
1.エアコンの設定温度を工夫する
夏は28℃、冬は20℃が目安です。温度を1℃変更するだけで、電気代を約10%節約できます!また、風向きや風量を調整することでも効率よく冷暖房ができます。
設定温度 | 節約効果 |
---|---|
28℃(夏) | 約10%削減 |
20℃(冬) | 約10%削減 |
表7:エアコンの温度設定による節電効果
2.LED照明を使う
LED電球は従来の電球に比べて、消費電力が少なく、寿命も長いため、長期的に見て非常にお得です。購入時のコストは少し高めですが、長い目で見れば、節約効果が抜群です。

図10:蛍光灯・LEDシーリングライト比較図
5.待機電力のカット
家電が使っていないのにコンセントに差しっぱなしになっていると、無駄に電力を消費しています。例えば、充電器や家電の電源は、使い終わったら抜いておくようにしましょう。
家電 | 待機電力(年間) |
---|---|
テレビ | 約1,200円 |
電子レンジ | 約900円 |
パソコン | 約1,500円 |
関連記事表11:待機電力をカットするためのコツ
節電のプロが教える!おうちで簡単節約術【7選】

節約を続けるための「見える化」と意識づけ
電気代の節約って、やってみたけど続かない…そんな声もよく聞きます。実は、節約を“続けるコツ”は「見える化」と「ちょっとした意識づけ」にあるんです!

「今どれくらい使ってる?」がわかると、自然と意識が変わる!
節電を習慣にするには、「自分の家がいつ、どれくらい電気を使っているか」が分かると効果的です。
そこで役立つのが…HEMS
■ HEMS(ヘムス)ってなに?
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」の略。家の中のエネルギー使用量をリアルタイムで“見える化”してくれる仕組みです。
スマホやモニターで、エアコン・照明・冷蔵庫などが「いつ・どれくらい電気を使っているか」が一目でわかります。
関連記事HEMSって何?仕組みとメリット・デメリットを徹底解説

■ スマートメーターも節約の味方!
スマートメーターは、従来の電気メーターと違って、30分ごとの電力使用量を自動で計測・送信できる賢いメーター。
これにより、過去の使用分と比較したり、「○時に電気を使いすぎてるな…」と振り返ることもできます。
■家族で取り組むのがポイント!
電気の使い方を“見える化”することで、家族みんなで楽しく節電に取り組めます。「昨日より○円安くなったね!」なんて声かけが、意識づけに効果バツグン!
「見える」と自然と気を付けたくなるもの。HEMSやスマートメーターをうまく活用して、家族みんなで楽しく、ムリなく節電を続けていきましょう!


執筆者
小売電気アドバイザー
大山 泰正
小売電気アドバイザーの資格を持ち、電気の比較・情報サイト「エネべる」を運営しています。運営会社である株式会社enebellの代表取締役として、電力業界の最新情報や節約術に関する豊富な知識を提供。電力自由化や最適な電力プラン選びに関するアドバイスを分かりやすく解説しています。
※燃料費調整額は月ごとに変動しており、特に2022〜2023年にかけて大きく上昇しました。