
電気代が上がり続ける中、「太陽光発電って本当にお得なの?」「売電でどれくらい収入があるの?」と気になる方が増えています。
中でも注目されているのが「売電価格」。昔より下がっているって聞くけど、実際どのくらいの収入になるのか気になりますよね。
この記事では、2025年の売電価格や、家庭で得られる売電収入の目安、そして今後の価格動向や太陽光発電の活用方法について、わかりやすく解説していきます。
さらに、最近注目の「自家消費」や「蓄電池との組み合わせ」など、売るだけじゃない賢い活用法も解説!
これから太陽光を導入したい方も、すでに使っている方も、きっと役立つ情報が見つかるはずです。
また、「売電とは?」と気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
売電の仕組みから始め方、必要な設備やお金のことまで一からわかりやすく説明しています!
売電とは?太陽光発電で収入を得る仕組みを簡単解説

【2025年最新】太陽光発電の売電価格は?
太陽光発電を始めるうえで、まず気になるのが「今の売電価格っていくら?」という点。
2025年も引き続き、固定価格での買い取り(FIT制度)が適用されており、売電収入を見込める制度設計が続いています。ここでは、最新の売電価格や買取期間、卒FIT後の価格についてわかりやすく紹介します。
2025年の太陽光発電の売電価格(FIT価格)は、以下のように決まっています。
売電価格 | 期間 | |
---|---|---|
10kW未満(住宅用) | 15円/kWh | 10年間 |
10〜50kW | 10円/kWh | 20年間 |
住宅用の10kW未満では1kWhあたり15円
10年間固定価格で買い取ってもらえます。たとえば1年間に3,000kWh売電できれば、約4.5万円の収入になります(15円×3,000kWh=45,000円)。
一方、10〜50kW未満の事業用区分では10円/kWhですが、20年間の長期買取が適用されるのが特徴です。
10kW未満(住宅用)の売電価格の推移

出典:経済産業省 資源エネルギー庁|過去の買取価格・期間等 を参考に作成
住宅用(10kW未満)の売電価格は年々減少しています。これは、太陽光発電の普及や設備コストの低下を背景に、政府が段階的な価格見直しを進めているためです。
そのため、太陽光発電の導入は「早ければ早いほどお得」と言われています。売電目的での設置を検討している方は、価格が下がる前のタイミングでの判断がおすすめです。
卒FIT後の売電価格は?
太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)は、契約から10年間(住宅用の場合)で終了します。2019年以降、その期間を満了する「卒FIT家庭」が順次増えており、今後も多くの家庭が卒FITを迎える見込みです。
FITが終了すると、売電価格は大きく下がり、一般的には6〜10円/kWh程度となります。これは、FIT期間中の価格(たとえば15〜42円/kWh)と比べて半額以下になるケースもあり、売電収入は大きく減少することになります。
ただし、卒FIT後も「売電自体ができなくなる」わけではありません。
最近では、電力会社に限らず、新電力会社やガス会社、通信事業者などが独自に売電プランを提供しており、ポイント還元や特典がつくなど選択肢が広がっています。
卒FITを迎えたら、単に価格だけでなく、自家消費とのバランスやライフスタイルに合った選択が求められます。
太陽光発電の「売電収入」はどのくらい?

「太陽光発電って実際どのくらい収入があるの?」と気になる方も多いはず。
売電収入は、設置容量や地域の日照条件によって変わりますが、うまく活用すれば年間数万円〜十数万円の収益も期待できます。
この章では、収入シミュレーションや費用とのバランス、地域差などを分かりやすく解説します。
家庭用の年間収入シミュレーション
太陽光発電でどのくらいお得になる?
「太陽光発電って、実際どれくらい収入や節約につながるの?」という疑問に応えるため、具体的な家庭をモデルにしたシミュレーションをご紹介します。
モデル家庭の条件
- 家族構成:4人(夫婦+子ども2人)
- 居住地:山梨県甲府市(全国でも日照条件が良好)
- 太陽光の設置容量:3.5kW
- 売電単価:15円/kWh(2025年FIT価格)
- 自家消費率:15%(残り85%を売電)
この家庭が1年間に発電できる電力量は、約4,010kWhと予測されます。これは、山梨県の平均的な日射量と設備効率を基に計算したものです。
▶売電による収入
発電量の85%にあたる約3,408kWhを電力会社に売電すると、
3,408kWh × 15円 = 約51,120円/年
▶自家消費による節約効果
残り15%の約602kWhを家庭内で使うことで、電気料金の支払いが減少。電気単価を約41円/kWhとすると、
602kWh × 41円 = 約24,971円/年
▶合計の経済メリット
売電+節電で得られる金額は、年間およそ
→約76,000円のプラスになります。
導入費用とのバランス(投資回収年数)
3.5kWシステムの導入費用は、1kWあたり約16万円として、
16万円 × 3.5kW = 約56万円
この初期投資に対し、年間で得られるメリットが約7.6万円であれば、
→約7.4年で回収可能という計算になります。
ポイントまとめ
- 発電量の多い地域では、収益性が高くなる
- 売電+自家消費のダブルメリットが大きい
- 10年以降も自家消費で電気代を削減できる
太陽光発電は、うまく活用すれば「家計の味方」になってくれます。
今回のように、地域や家族構成に合わせてシミュレーションしてみると、自宅に導入した場合のメリットがより具体的にイメージできるでしょう。
日当たりや地域でどう変わる?
太陽光発電は日照時間が発電量に大きく影響します。
日照時間が長い地域ほど、効率よく発電できるため、売電収入や電気代の節約効果も高くなります。
次に、2023年度の全国の日照時間が多い地域ランキングをご紹介します。
表:【2023年度】日照時間多い地域ランキング
市区町村 | 日照時間(年間・時間) |
---|---|
1位:埼玉県 熊谷市 | 2545.5時間 |
2位:群馬県 前橋市 | 2497.2時間 |
3位:山梨県 甲府市 | 2484.1時間 |
4位:静岡県 静岡市 | 2459.3時間 |
5位:茨城県 水戸市 | 2454.4時間 |
神奈川県 横浜市 | 2410.0時間 |
愛知県 名古屋市 | 2378.4時間 |
三重県 津市 | 2373.3時間 |
千葉県 千葉市 | 2345.7時間 |
岐阜県 岐阜市 | 2342.4時間 |
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)|日照時間(年間) を参考に作成
これらの地域には以下のような共通した特性があります。
- 晴天の日が多く、年間を通じて安定した発電が可能
- 太平洋側または内陸部に位置し、乾燥した気候が多い
- 1kWあたり年間1,400kWh以上の発電が期待できるエリアもある
とくに、山梨県甲府市や群馬県前橋市は、国内でも有数の高い日射量を誇り、発電効率の良さが特長です。
ただし、発電量に影響を与えるのは日照時間だけではありません。日当たりの条件、地形、気温なども大きく関わります。たとえば、気温が極端に高いと、晴れていてもパネルの発電効率が落ちる場合があります。
そのため、高温傾向にある地域では、熱に強いパネルを選ぶなど、環境に合わせた機器選定が重要です。
これから太陽光発電を検討する方は、ご自宅の立地や気象条件を踏まえ、「地域特性に合った設計・運用」を意識することが、長期的なメリットにつながります。
売電価格はなぜ下がる?今後どうなる?

太陽光発電の売電価格は、普及と技術進歩により徐々に下がってきました。
2024年から2025年には1円/kWh減少しており、値上がりは見込みにくい状況です。今後は「売って儲ける」より「自分で使って得する」自家消費や蓄電池の活用がますます重要になります。
この章では、売電価格が下がる背景と今後の動向をわかりやすく解説します。
太陽光発電の普及とともに売電価格が下がってきた背景
太陽光発電の普及を促すため、2012年に始まったFIT制度では1kWhあたり42円という高い売電価格が設定されました。
当時の住宅用太陽光は設置コストが非常に高く、1kWあたり50〜60万円が相場。一般家庭では100万円以上の初期費用が必要でした。
この高い売電単価は、そうした初期投資をおよそ10年で回収できるように設計されたもの。高額な設置費用のハードルを下げ、多くの家庭が導入しやすくなるよう政策的に支えられていたのです。
今後も売電価格は下がる?それとも横ばい?
太陽光発電の普及と技術の進歩により、この10年ほどで設置費用は大幅に下がり、当初の半額以下が当たり前となっています。現在では1kWあたり25〜30万円前後が主流となり、家庭でも導入しやすい価格帯に。
この設置費用の低下にあわせて、売電価格も徐々に引き下げられてきました。先程の説明にもあるように売電単価は「設置費用を約10年で回収できる水準」を目安に決められているためです。費用が下がれば、それに比例して売電価格も下がる——これは制度上の仕組みといえるでしょう。
また、導入ハードルが下がったことで国の補助金制度も縮小傾向に。かつてのような手厚い支援は受けにくくなっており、今後は「売電」だけでなく自家消費や節電効果など「使い方」に目を向けた導入判断が求められます。
売電価格の今と、家庭に与える影響
下落傾向は鈍化するも、大幅な上昇は見込みにくい
近年、太陽光発電の売電価格は下落傾向にありましたが、最近はそのペースが緩やかになっています。
住宅用(10kW未満)の売電単価は、2020年の21円/kWhから徐々に下がり、2023年には16円、2024年も16円で据え置かれました。下落傾向はやや落ち着きを見せています。
とはいえ、かつてのような40円台の高単価に戻る可能性はきわめて低いのが現実です。
これは、国の方針として「再エネは時間とともにコストが下がるもの」と位置づけられているため。太陽光発電の導入コストが大幅に下がった今、売電によって大きく利益を得る時代は終わりつつあるといえるでしょう。
今後は、「売って儲ける」よりも「自分で使って得する」時代へと確実にシフトしています。
ポイント
- 売電価格の下落は鈍化傾向にあるが、今後も大幅な上昇は見込みにくい
例:2024年度16円 → 2025年度15円 - 太陽光発電の設置費用が大きく下がったことで、売電単価も引き下げられてきた
「設置費用を10年で回収する水準」が基本 - これからは「売って儲ける」より「自分で使って得する」時代へ
自家消費や蓄電池の活用が重要に
このように、売電価格が大きく上がる見通しは立ちにくい中で、注目されているのが「自家消費」や「蓄電池との併用」といった、家庭で電気を有効活用するスタイルです。
次章では、家庭ごとの電気の使い方やライフスタイルに注目し、「売電」と「自家消費」のどちらがよりお得で、どんな家庭に向いているのかをわかりやすく解説していきます。
家庭によって違う!売電と自家消費の最適な選び方

家庭の状況によって、得になる方法は大きく変わる!
「売電単価が下がった今は、自家消費のほうが得」とよく聞きますが、すべての家庭に当てはまるとは限りません。
実は、売電の方が有利になる家庭もまだ存在します。
この章では、「売電が得になる家庭」と「自家消費が得になる家庭」それぞれの特徴や条件を具体的に解説しながら、どんな選び方をすれば後悔しないのかをご紹介します。
電気代の節約効果を最大限に引き出すために、まずは自宅に合った「最適な活用スタイル」を見つけることが重要です。
まだ「売電」中心で得できる家庭とは?
近年は、売電単価が1kWhあたり15円と下がってきており、「売って儲ける時代は終わった」と感じている方も多いかもしれません。
しかし、条件が揃えば今でも「売電中心」のほうがメリットを得られるケースは存在します。
たとえば、以下のような家庭が当てはまります
- 売電単価 > 電力量料金の家庭
→ すでに太陽光発電を導入しており、2018~2020年頃に設置した家庭では、当時の売電単価が26~21円/kWhという水準でした。
そのため、現在契約している電力会社の電力量料金よりも売電単価のほうが高く、発電した電気を自家消費するより売ったほうが経済的に有利になるケースがあります。
ただし、電力量料金は契約中の電力会社やプランによって異なるため、まずは現在の料金単価を確認することが大切です。
このように、導入時期や契約内容次第では今も売電が有利になるケースがあるため、自宅の条件を見直して判断しましょう。
多くの家庭にとっては「自家消費」の方が得
現在の売電単価は1kWhあたり15円。2021年には20円を下回り19円/kWhだったことを考えると、電力会社から電気を買う電力量料金(約25〜30円/kWh)を大きく下回っています。
そのため、発電した電気は「売るより使う」ほうが経済的に有利な時代になっています。
とくに、最近太陽光を導入した家庭や、FIT(固定価格買取制度)の終了=卒FITを迎えた家庭では、自家消費を中心とした活用で高い節約効果が期待できます。
発電した電気をムダなく使い切るためには、「自家消費率をいかに高めるか」がカギ。
この章では、自家消費の効果を最大限に引き出すための具体的な方法を紹介します。
蓄電池を導入
蓄電池を活用すれば、昼間に発電して使いきれなかった電気を蓄え、夜間に使用することが可能になります。
契約している電気料金プランやライフスタイルに合わせて、電気代の高い時間帯には自家消費を優先し、電気代の安い時間帯には発電分を蓄電池に貯めておくといった使い方ができます。
これにより、夜間の電気使用量が多い家庭や、時間帯別プラン・市場連動型プランを利用している家庭でも、効率よく電気代を抑えることができます。
また、売電単価が大きく下がる卒FIT世帯にとっても、余剰電力を有効活用できる蓄電池の導入は非常に有効です。
契約プランを見直し
ライフスタイルに合わせて契約プランを見直すことで、自家消費の効果をさらに高められます。
【日中に家にいる時間が長い家庭なら市場連動型プラン】
→ 市場連動型プランでは、電気料金が時間帯や需給状況によって変動し、昼間は比較的安く、夜間は高くなる傾向があります。
そのため、日中に家にいる時間が長い家庭では、昼間は電気を買って使用し、夜間は蓄電池にためた電気で自家消費するという使い分けが効果的です。
また、「オール電化 × 太陽光発電 × 蓄電池」という組み合わせは、市場連動型プランと非常に相性がよく、電気料金の安い昼間に発電しつつ蓄電も行い、高騰しやすい夜間の買電を減らすことで、電気代全体の最適化が可能になります。
【共働き世帯や昼間は家に誰もいない家庭なら時間帯別プラン】
→ 共働きなどで昼間に家に誰もいない家庭では、発電した電気を日中に使いきれず余るケースが多いです。
そこで相性がいいのが、昼間の電気代が高く、夜間が安い「時間帯別プラン(昼高・夜安)」。
太陽光発電で昼間の高い電気料金を自家消費でカバーできるうえ、余った電気は蓄電池に貯めて夕方以降の家事に回すことで、買電量をさらに削減できます。
また、夜間の電力量料金が安いため、洗濯機や食洗機などはタイマー機能を使って夜間に稼働させるのも効果的。ライフスタイルに合わせた運用で、賢く節約が実現できます。
売電単価が下がった今、多くの家庭では「発電した電気を使う=自家消費」が電気代節約のカギとなっています。
とくに、蓄電池の導入や契約プランの見直しを通じて、時間帯ごとの電気代をうまく調整することで、無駄なく効率的に電力を使えるようになります。
とはいえ、ライフスタイルや導入時期によっては「売電中心」が得になるケースもあるため、自宅の条件を見直すことも大切です。
自家消費・売電、どちらを重視するにしても、電力会社の選び方が大きなポイントになります。契約プランやサービスの違いを理解し、自宅に合った電力会社を選びましょう。
▶ 「オール電化×太陽光発電におすすめの電力会社は?後悔しない選び方と乗り換えポイントを徹底解説!」では、
自家消費を最大化したい方や、売電とのバランスを重視したい方に向けて、ぴったりの電力会社を分かりやすく紹介しています。ぜひあわせてご覧ください!
オール電化×太陽光発電におすすめの電力会社は?後悔しない選び方と乗り換えポイントを徹底解説!

まとめ|太陽光発電の導入と活用のポイント
この記事では、売電価格の変動をふまえた太陽光発電の効果的な活用方法について解説しました。FIT制度の見直しや売電価格の下落により、「売る」だけに頼る発電モデルから、自家消費や蓄電を中心とした新しい運用スタイルへの移行が進んでいます。
導入を検討している方にとっては、初期費用の適正な見積もり、信頼できる業者の選定、そして導入後のメンテナンス体制の整備が重要なポイントです。補助金や支援制度をうまく活用し、無理のないプランで導入を進めましょう。
また、すでに太陽光発電を利用している方も、定期点検や清掃、発電量モニタリング、最新技術の導入によって、さらなる効率化と節電効果が期待できます。V2Hや蓄電池の活用、地域での電力シェアなど、多様な使い方を取り入れることで、電気代の節約だけでなく、災害時の備えとしての安心感も得られます。
太陽光発電は、単なる「売る電力」から「暮らしを支える電力」へと、その役割を広げています。今後も制度の動向をチェックしつつ、自分たちの生活に最適な使い方を見つけ、持続可能なエネルギーライフを実現していきましょう。
▼オール電化×太陽光発電におすすめの電力会社を厳選・徹底解説!
「売電」と「自家消費」のバランスは?自分に合う契約プランは?
そんな疑問に応えるべく、ランキングではなく相性重視で厳選した電力会社をわかりやすく紹介しています。
次の記事で、あなたにぴったりの1社を見つけましょう!
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執筆者
小売電気アドバイザー
大山 泰正
小売電気アドバイザーの資格を持ち、電気の比較・情報サイト「エネべる」を運営しています。運営会社である株式会社enebellの代表取締役として、電力業界の最新情報や節約術に関する豊富な知識を提供。電力自由化や最適な電力プラン選びに関するアドバイスを分かりやすく解説しています。