太陽光発電の発電量は年間どのくらい?発電へ影響する要素と電気代削減効果を徹底解析

太陽光発電の発電量はどれくらい?

「太陽光発電って、結局どれくらい発電できるの?」そう思ったこと、ありませんか?
発電量がどのくらいなのか分からないと、電気代がどれだけ安くなるのかもイメージしにくいですよね。

実は、発電量は住んでる地域や天気、設置の角度なんかでもけっこう変わってきます。だからこそ、自分の環境だとどのくらい発電できそうか、あらかじめ目安を知っておくのが大事です。

この記事では、太陽光発電の発電量の目安はもちろん、節約効果や設置コスト、発電量をアップさせる工夫までわかりやすく紹介していきます。

「なんとなく気になってた」という人も、この記事を読めばざっくりイメージがつかめるはずです!

太陽光発電の発電量はどのくらい?

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まずは太陽光発電で1日や1kWあたりで、どれくらい発電できるのか、そして地域によってどれくらい差があるのかを見ていきましょう。

発電量の目安を把握することで、改善点や節約効果をより具体的にイメージすることができます!

1日あたり・1kW当たりの発電量目安

ではまず、全国の平均的な太陽光発電パネルの発電量を確認しましょう。

2021年度の環境省のデータを参考にすると、設置容量が1kWの太陽光パネルの年間発電量平均は全国平均で1,303kWhとされています。

つまり、1kWの太陽光パネルは、1日あたり約3.57kWhの電力を発電していることになります。

一般家庭での太陽光パネルの設置容量は3kW~5kWが主流と言われており、それぞれの発電量目安は表のようになります。

設置容量1日当たりの発電量
3kW10.7kWh
4kW14.3kWh
5kW18.0kWh

設置容量1kWは太陽光パネル3~4枚分ぐらい

1枚あたり約250~380Wの発電量があるよ!

年間の平均発電量(都道府県別)

太陽光発電での発電量は、設置地域によっても大きく異なります。

同じ性能の太陽光パネルを設置したとしても、日照時間や天候、地形などの影響で発電量は変わってきてしまいます。

先程の環境省のデータを元に、発電量が最も多い山梨県と最も少ない秋田県を例に地域の差を比較してみます。

山梨県 1年:約1,522 kWh 1日:約4.17kWh

秋田県 1年:約1,108 kWh 1日:約3.04kWh

例えば、5kWの太陽光パネルを導入した場合、山梨県では年間約7,610kWh前後、秋田県では約5,540kWh前後が発電目安となり、年間約2,070kWh前後の発電量に差が出ています。

地域ごとの差はなかなか埋めることが難しいため、少なくとも都道府県別の発電量目安に比べて、自宅の発電量があまりにも少なくなっていないかを確認してみましょう

都道府県別の1kWあたりの発電量目安

都道府県平均発電量(1kW・年)平均発電量(1kW・日)
北海道1,225 kWh3.36 kWh
青森県1,162 kWh3.18 kWh
岩手県1,234 kWh3.38 kWh
宮城県1,288 kWh3.53 kWh
秋田県1,108 kWh3.04 kWh
山形県1,219 kWh3.34 kWh
福島県1,267 kWh3.47 kWh
茨城県1,392 kWh3.81 kWh
栃木県1,364 kWh3.74 kWh
群馬県1,441 kWh3.95 kWh
埼玉県1,361 kWh3.73 kWh
千葉県1,352 kWh3.70 kWh
東京都1,345 kWh3.68 kWh
神奈川県1,366 kWh3.74 kWh
新潟県1,140 kWh3.12 kWh
富山県1,163 kWh3.19 kWh
石川県1,189 kWh3.26 kWh
福井県1,190 kWh3.26 kWh
山梨県1,522 kWh4.17 kWh
長野県1,428 kWh3.91 kWh
岐阜県1,368 kWh3.75 kWh
静岡県1,431 kWh3.92 kWh
愛知県1,382 kWh3.79 kWh
三重県1,392 kWh3.81 kWh
滋賀県1,271 kWh3.48 kWh
京都府1,255 kWh3.44 kWh
大阪府1,337 kWh3.66 kWh
兵庫県1,388 kWh3.80 kWh
奈良県1,304 kWh3.57 kWh
和歌山県1,386 kWh3.80 kWh
鳥取県1,183 kWh3.24 kWh
島根県1,177 kWh3.22 kWh
岡山県1,346 kWh3.69 kWh
広島県1,332 kWh3.65 kWh
山口県1,279 kWh3.50 kWh
徳島県1,401 kWh3.84 kWh
香川県1,348 kWh3.69 kWh
愛媛県1,330 kWh3.64 kWh
高知県1,407 kWh3.85 kWh
福岡県1,224 kWh3.35 kWh
佐賀県1,262 kWh3.46 kWh
長崎県1,276 kWh3.50 kWh
熊本県1,309 kWh3.59 kWh
大分県1,263 kWh3.46 kWh
宮崎県1,345 kWh3.68 kWh
鹿児島県1,256 kWh3.44 kWh
沖縄県1,217 kWh3.33 kWh

※2021年度環境省データを参考に作成

環境省|令和3年度 再エネ導入ポテンシャルに係る情報活用及び提供方策検討等調査委託業務報告書

太陽光発電の電気代節約効果は?

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発電量の目安がわかったところで次は「実際にどのくらい電気代が安くなるのか」を見ていきましょう。

設置することで家計にどれくらいのメリットがあるのか?発電した電力の売電と自家消費の違いは?など、気になるポイントは色々あります。

ここでは「売電と自家消費の違い」と「どのくらい電気代が安くなるのか?」の2つについて見ていきます。

売電と自家消費の違い

太陽光発電でつくった電気の使い方には、「売電」と「自家消費」の2パターンがあります。

売電は、発電して余った電気を電力会社に買い取ってもらう方法。以前は「売った方が得」と言われていましたが、現在は売電価格が年々下がっているため、そこまで大きな収入にはなりにくくなっています。

一方、自家消費は発電した電気を自分の家で使うスタイル。こちらは、電力会社から買うよりも電気代を抑えられるのがメリットです。とくに最近は電気料金が高くなってきているので、自家消費の価値が見直されつつあります。

最近の家庭用太陽光は「なるべく自分で使う」方向が主流になっていて、蓄電池と組み合わせて効率よく運用するケースも増えています。

毎月の電気代がいくら安くなる?

ではここで実際に太陽光発電を導入した際にどのくらい電気代が安くなるかを見てみましょう。
今回は東京都で売電契約を結び、自家消費と売電の両方を行った場合でシミュレーションしていきます。

一般的な家庭の設置容量は3~5kWが多いため、東京都で3kW設置したと想定すると、年間平均発電量は4,035kWhとなります。

また、一般家庭での売電と自家消費の割合は2021年度の環境省のデータによると、54%を売電、残りの46%を自家消費とされているのでこれを参考に計算すると

■売電収益
4,035kWh(年間発電量) ✕ 54%(売電率) ✕ 16円(売電単価) = 約34,862円

■自家消費の節電額
4,035kWh(年間発電量) ✕ 46%(自家消費率) ✕ 30円(電気料金単価) = 約55,683円

■合計
34,862円 + 55,683円 = 90,545円

※電気料金単価は一般的な平均値の30円で試算

合計で年間約9万円、月々7,500円もの節約効果が期待できます!

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導入・維持にかかる金額はどれくらい?

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初期費用の目安

太陽光発電を導入する場合の初期費用は新築住宅と既築住宅で多少異なりますが、1kWhあたりで以下が目安です。

  • 新築住宅の場合:28.6万円/kW
  • 既築住宅の場合:32.6万円/kW
1kWh3kWh5kWh
新築住宅約28.6万円約85.8万円約143万円
既築住宅約32.6万円約97.8万円約163万円

既築住宅の場合、配線工事や設置の際の家自体への工事が発生する場合があり、新築住宅に比べて少し高くなることがあります。

維持費の目安

導入後の維持費は基本的には自動運転で、直接費用がかかってくることは少ないですが、長期使用時の点検や耐用年数切れの部品交換が必要になります。

  • 定期点検(4年に1回): 約2~5万円
  • パワーコンディショナ交換(20年に1回): 約15〜25万円

導入からどれくらいかかっているかを把握しておき、必要に応じて費用を掛けてメンテナンスを実施しましょう。

発電量に影響を与える要素

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時間帯別の発電量の違い

太陽光発電の発電量は、1日の中でも時間帯によって大きく変動します。

一般的に、発電量は午前10時から午後2時の間に最も多くなり、早朝および夕方以降は発電量が大きく低下します。これは太陽の高度と日射強度が影響しており、真昼に太陽が高くなることでパネルへの日射量が最大となるためです。

図1:全国の太陽光発電による時間帯別発電量


一方、朝や夕方は太陽の高さが低く、パネルに届く光の量が少なくなるため、発電量もあまり伸びません。天気が良くても、発電できるのは主に昼間の時間帯になります。

環境エネルギー政策研究所|発電量推移の太陽光

天気の影響はどの程度?

太陽光発電は、天候によって発電量が大きく変動します。

※資源エネルギー庁のデータをもとに作成

図2:天候・時間帯別発電量割合

晴天時は日射量が多く、もっとも効率的に発電できますが、曇りや雨の日には発電量が大幅に減少します。

たとえば、曇天時には日照が安定せず、発電量は通常の30〜50%程度まで低下することが多いです。一方で、雨の日でも完全に発電が止まるわけではなく、おおむね10〜20%の出力が維持されるとされています。

また意外かもしれませんが、晴天時でも太陽光パネルが理論上の最大性能(定格出力)を常に発揮しているわけではありません。実際の発電量は、日射角度や気温、雲の影響などにより変動し、ピーク時間帯であっても定格の50〜70%前後にとどまることもあります。

資源エネルギー庁|第1章 国内エネルギー動向

意外と秋が最高効率?季節ごとの変化

太陽光発電といえば「夏が一番発電しそう」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
ところが実際には、秋(9月〜10月頃)の方が年間を通じて最も効率よく発電する時期になるケースもあります。

その理由は、夏は確かに日照時間が長いものの、高温によってパネルの発電効率が下がるためです。太陽光パネルは気温が上がりすぎると出力が落ちる性質があり、気温の低い秋の晴天時は、日射量と効率のバランスが良いため、発電パフォーマンスが高まる傾向があります。

また、冬は日射角が浅く、日照時間も短いため、発電量は最も少ない時期とされます。
一方、春も秋と同様に発電しやすい時期ですが、花粉や黄砂によるパネルの汚れが効率に影響する場合もあります。

このように、発電量は「季節×天候×気温」で決まるため、年間を通じての平均発電量で判断することが重要です。

地域ごとの日照時間の違い

太陽光発電の発電量は、設置場所の日照時間に大きく左右されます。
日本国内でも地域によって年間の日照時間には大きな差があり、それが発電量の違いにも直結します。

たとえば、高知県、群馬県、静岡県、愛知県、茨城県などは年間日照時間が2,200時間以上と全国的にも長く、太陽光発電に適した地域とされています。一方で、日本海側の新潟県や山形県、北日本の北海道などでは1,600〜1,800時間程度と短くなる傾向があります。

■日照時間TOP5(2024年)

都道府県名年間日照時間(h)
高知県2309.0 h
群馬県2285.4 h
静岡県2246.2 h
愛知県2242.5 h
茨城県2239.6 h

■日照時間WORST5(2024年)

都道府県名年間日照時間(h)
沖縄県1757.5 h
富山県1725.2 h
青森県1701.1 h
新潟県1629.6 h
山形県1625.6 h

気象庁|過去気象データ検索

環境改善やメンテナンスで発電効率をアップ

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発電に最適な角度と方位

太陽光発電の効率を最大限に引き出すには、パネルの設置角度(傾斜)と方位(向き)が非常に重要です。これらの条件が適切でないと、十分な日射を受けられず、発電量が想定よりも低下してしまうおそれがあります。

まず、最も適した方位は「真南(南向き)」です。南向きに設置することで、1日の中で最も長時間かつ安定して日射を受けることができ、年間を通じて高い発電量が期待できます

次に角度についてですが、太陽光に対して直角になるよう設置することが理想とされており、30度前後が理想とされています。ただし、地域によって最適な角度は変化し、北海道では35度前後、沖縄では20度前後が理想とされており、緯度の高い北に行くほど角度が急に、南に行くほど緩やかになっていきます。

汚れは発電量低下に直結

太陽光パネルの表面に付着する汚れ(ほこり、花粉、鳥のふん、黄砂、PM2.5など)は、発電効率を下げる大きな要因のひとつです。

パネルに汚れがあると日射を遮り、パネルが本来受け取れるはずの日光を妨げるため、発電量の低下につながります。

また、発電を行う「セル」の一部が汚れると「ホットスポット」と呼ばれる局所的な発熱が起き、機器の寿命を縮める恐れもあり、最悪の場合は発火の可能性もあるため、定期的な清掃や点検は非常に重要です

特に都市部や農地の近隣、交通量の多い場所では、想像以上に汚れが蓄積しやすいため、季節の変わり目などに確認と掃除を行いましょう。

影をなくして発電量をアップ

太陽光パネルは、太陽の光を直接受けて発電します。そのため、パネルの一部でも影がかかると、光の量が減り、その分発電量も落ちてしまいます

影の影響は意外と大きく、わずかな面積でも発電効率に影響を与える場合があります。

落ち葉や汚れなどにだけでなく、たとえば、電柱やアンテナ、近くの建物や植木、ベランダの手すりなどが、時間帯によってパネルに影を落とすケースは少なくありません。

特に朝夕は太陽が低い位置にあるため、思いがけない方向から長い影が伸びてパネルを覆ってしまうこともあります。

パワーコンディショナーの耐用年数に注意

太陽光発電システムの中でも、パワーコンディショナー(PCS)は特に寿命が短い部品とされています。

パネルで発電された直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する重要な役割を果たしていますが、電子機器であるため使用とともに変換効率が徐々に低下し、正常に電力変換ができなくなる場合があります。

一般的な耐用年数はおおむね10〜15年程度とされており、頻度はそれほど高くありませんが、発電効率に影響がでてくるため、確実に交換を行いましょう。

交換費用は本体代金と工事費用をあわせて1台あたり30万〜35万円程度が目安とされており、交換時期に合わせてしっかりと資金計画を立てておきましょう。

太陽光発電を取り巻く環境と世の中の動き

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一部自治体の太陽光パネル設置の義務化

近年、再生可能エネルギーの導入促進を目的として、太陽光パネルの設置を義務づける動きが一部の自治体で始まっています

東京都では2025年4月1日から、延べ面積2,000㎡未満の新築住宅に対して太陽光パネルの設置が義務化されました。

この制度は、東京都環境確保条例の改正に基づくもので、都内に住宅を建てるハウスメーカーや建築主に対して、建物ごとに太陽光発電設備の導入目標量を設定し、義務的に設置計画を立てることを求める内容となっています。

背景には、都内の住宅部門で増加傾向にあるCO₂排出量の抑制や、エネルギーの地産地消を促進する狙いがあり、東京都はこの制度によって年間で約10万トンのCO₂削減効果を見込んでいます。

今後は、東京都以外の自治体でも同様の制度導入を検討する動きが広がる可能性があり、太陽光発電の設置が選択肢から前提条件へと移行していく局面に入りつつあります。

初期費用が0円のPPAやリースモデルの登場

太陽光発電の導入にかかる初期費用の高さは、多くの家庭や事業者にとって大きなハードルとなってきました。

その中で近年注目されているのが、初期費用をほぼゼロで導入できる「PPA(Power Purchase Agreement)」や「リースモデル」です。

PPA(Power Purchase Agreement)

PPAは、太陽光パネルや関連設備の設置や管理費用を事業者が負担しする仕組みです。
発電した電気は売電できず、すべて自家消費が前提となります。

利用者は、消費した分の電気料金を事業者に支払う形で利用し、その電気料金は多くの場合、通常の電力会社と比べて割安に設定されています。

リースモデル

リースモデルは、太陽光発電システムの設置とメンテナンスをリース会社が担い、月々にリース料金を支払うことで太陽光発電システムを導入する契約です。

契約は一般的に10年~15年程度を設定している業者が多く、契約期間を満了すると太陽光発電システムの所有権が利用者に移るため、その後は料金を支払うことなく利用可能です。

PPAモデルと違い売電が可能で自家消費にも費用がかからず、メンテナンスフリーという点から導入費用や管理の負担が低いため、導入が進んでいる方式です。

まとめ|発電量目安の把握と自身の環境を比べて賢く発電!

太陽光発電は、設置するだけで必ず大きな効果が得られるわけではありません。

重要なのは、「自分の家では年間どれくらい発電できるのか」という目安をしっかり把握し、その上で導入や費用対効果を見極めていくことです。

この記事では、1日あたり・年間の平均発電量の目安や、地域差・天候・設置条件など、発電量に影響を与えるさまざまな要素を紹介してきました。

これらの情報をもとに、まずは発電量の想定と、自分の家の環境を照らし合わせてみることが、賢い太陽光発電の第一歩です。

導入後の費用対効果や発電効率を最大限にするには、環境条件の確認やメンテナンスの意識も欠かせません。

今後は卒FITによる売電価格の低下や電気料金の高騰が予測されるため、太陽光発電をうまく活用することで、少しでも電気代を節約し、家計の助けとしていきましょう。

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執筆者

小売電気アドバイザー

大山 泰正

小売電気アドバイザーの資格を持ち、電気の比較・情報サイト「エネべる」を運営しています。運営会社である株式会社enebellの代表取締役として、電力業界の最新情報や節約術に関する豊富な知識を提供。電力自由化や最適な電力プラン選びに関するアドバイスを分かりやすく解説しています。